月別アーカイブ: 2009年5月

応え

閉じたままじゃ、雨は受けられない。

 望む言葉だけで応えて欲しい。
 気休めでもいいから、わたしが今、欲しい言葉だけを応えて欲しい。

 理屈ばかりを積み重ねたお説教なんて要らないから、わたしが欲しい言葉だけを、返して欲しい。

 まるで山の向こうに向かって叫んでいるみたいに、木霊して返ってくるのは、あなたの言葉じゃなくて、わたしの言葉。

 結局、欲しい言葉は自分の中にしかなくて、あなたの言葉が欲しいわけじゃなくて。

 言葉を受け止めるための傘は、自分で閉ざしたまま、下を向いている。

 そんな自分に、今日も少し、いらいら。

階段

手すりがあったら、ちゃんと掴まるのよ。

 落ちてしまえばいいのに、なんて呪文のように何度も呟く。
 失敗してしまえばいいのに、なんて呪文のように何度も祈る。

 わたしだけが成功しなくて、他の人達が失敗しないなんて、世の中理不尽だと思う。
 落ちてしまえばいいのに。失敗してしまえばいいのに。
 みんなみんな、夢を持っていて、それが叶っていって。凄く、羨ましくて、苦しくて。

 けれどきっと、わたしがこうして呪文を唱えるよりも、たくさんの努力とエネルギーが、みんなを突き動かしていて、わたしは呪文を唱えるだけしかできなくて、だから情けなくて、苦しくて。

 それでもわたしは、こんなふうに呪文を唱えて呪ってやることくらいしか、戦う方法を知らなくて、それがたまらなくもどかしい。

 いつになったら、この階段を身軽に昇っていけるんだろう。

 今はただ、前を歩くみんなを追いかけるように、一歩一歩、靴を踏みしめる。せめて、ここから自分が落っこちないように。

 そう、自分が落っこちないように。今度は、それだけを願って、駆け上がりたい。

作る立場に立つ

職人たちの街

 知りたければ、ものを作る立場になればいい。
 それがどう生まれ、どのように動き、どのように消えていくのか、知りたければ、作る立場になればいい。

 人を知りたければ、親になるといい。
 人がどのように生まれ、どのように死んでいくのか。知りたければ、育む立場になるといい。

 誰かを好きになりたければ、自分を好きになるといい。